勝負をかけない ― 失敗できる大きさで、10回試す
新しいことを始めるとき、
社長はつい、
一発で当てにいこうとします。
設備を入れる。
人を採る。
新しい商品を出す。
どれも、外せない一手のつもりで
動いてしまいます。
先日、テレビである経営者の話を見て、
考えさせられました。
79歳、いまも会社を立て直している人
テンポスの森下篤史さんです。
中古の厨房機器を売る会社から始めて、
いまは傾いた飲食店を買い、
立て直しています。
ステーキのあさくまも、
そのひとつです。
100店舗を超えていた店が、
24店舗まで減っていました。
そこから、V字回復させています。
やったのは、小さな改善の積み重ね
やったことは、
派手なことではありませんでした。
- サラダバーを15種類から45種類に増やす
- 入口の貼り紙を、自慢の焼き鳥の写真に変える
- 海外のお客様に、実物の写真で見せる
どれも、明日できることです。
それを、ひたすら繰り返しています。
10回やれば、9回は失敗する
番組の中で、
高跳びの話をされていました。
1m80を跳べる人が、
次に5cm上げたらどうなるか。
10回やって、9回は失敗する。
「でも、いちいち
反省してられない」
新しいことも、同じです。
10回やれば、9回は失敗する。
それが当たり前だ、という前提に立つ。
失敗しないようにするのではなく、
失敗しても大丈夫にしておく。
裸一貫のときと、社員を抱えたあと
森下さんは、
こうも言われていました。
裸一貫のときは、
勝負をかけないと
会社は立ち上がらない。
けれど、ある程度の規模に
なってからも勝負をかけるようでは、
経営者ではない、と。
創業のころは、勝負が要る
創業のころは、
全部つぎ込むしかない時期があります。
借りて、背負って、走る。
それでしか進まない時期です。
人を抱えたあとは、勝負しない
でも、社員が増えて、
毎月の給料と支払いを
抱えるようになったあとは、
同じ勝負の仕方はできません。
外れたときに、
会社が傾いてしまうからです。
一発を当てにいくのではなく、
外しても続けられる大きさで、
たくさん試す。
「失敗できる大きさ」を先に決める
ここが、実務のポイントです。
新しいことを始める前に、
次の3つを決めておきます。
- いくらまで使ってよいか
- いつまで続けるか
- 何が出なければ、やめるか
いくらまで使ってよいか
手元の現金のうち、
いくらまでなら、
外れても資金繰りが回るのか。
ここを先に出しておきます。
いつまで続けるか
期限がないと、
いつまでも「もう少し」と
お金と時間が出ていきます。
何が出なければ、やめるか
売上でなくて構いません。
問い合わせの数でも、
試作の完成でもよいのです。
判断できる数字を、
ひとつ決めておきます。
線を引くと、失敗が想定内になる
先に線を引いておけば、
外れたときも想定内です。
想定内の失敗なら、10回できます。
10回できれば、当たりも出ます。
おわりに
79歳の経営者が、
いまも小さな試みを
繰り返していました。
その姿がいちばん、
心に残りました。
いま考えている一手は、
外れても大丈夫な大きさでしょうか。
もし「外したら終わり」の
一手だとしたら、
いったん小さく試す形に
組み替えられないかを
考えてみてください。
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