その判断、粗利で決めていませんか―「何をすればいいんだ」が消えるまでの二日間

先日、高知で開いている二日間の経営合宿に、
東京から来てくださった社長がいらっしゃいました。
合宿の最後に、こんなことをおっしゃいました。
「モヤモヤは本当に、何をすれば良いんだ、というところ。
今朝も、まだありました」
二日目の朝になっても、まだ消えていなかったということです。
私はこの言葉を、とてもありがたく受け取りました。
取り繕わずに、そのまま出してくださったからです。
そして同じ方が、帰り際にはこうおっしゃいました。
「あとは僕がやるだけです」
この二つの言葉の間に何があったのかを、今回は書いてみたいと思います。
粗利で判断すると、打つ手を間違えます
二日間で最初に時間をかけたのは、貸借対照表と損益計算書の見方でした。
多くの経営者の方が、日々の判断を粗利で行っておられます。
この商品は粗利が取れる、この案件は粗利率が低い。
もちろん、粗利は大事な数字です。
ただ、粗利だけを見て決めていると、判断がずれていきます。
粗利が増えても、会社にお金が残るとはかぎりません。
その間に人が増え、家賃が上がり、車両やシステムが増えていれば、
固定費がそれ以上に膨らんでいることがあるからです。
粗利は伸びているのに、社長の実感としては去年より苦しい。
この食い違いは、たいてい固定費と経常利益のバランスを見ていないところから生まれます。
ですから、判断の土台は粗利ではなく、経常利益に置きます。
この一手を打つと、経常利益はいくら増えるのか。
この人を採用したら、経常利益はどこまで下がり、いつ戻るのか。
同じ検討でも、経常利益を軸にすると、答えがまるで変わってきます。
そして、経常利益額と合わせて必ず見ていただくのが、経常利益率です。
額だけを追いかけていると、規模が大きくなっただけで
体質が変わっていない会社になります。
率で見ると、その会社が本当に強くなっているのかどうかが分かります。
数字は、説明できて初めて力になります
二日目の後半でお伝えしているのが、
私が「ガラス張り経営」と呼んでいる考え方です。
自社の数字を、社長が社員に説明できる状態にしておく。
なぜこの利益になったのか、なぜ来期この目標なのか、
なぜこの投資をするのか。その理由と根拠を、
自分の言葉で言える状態にしておく、ということです。
合宿を終えて、その社長はこうおっしゃいました。
「これを持てば、すべての結果も、今後の目標も、
その理由と根拠を説明できるようになると感じました」
数字を隠している会社は、社員が理由を推測で埋めます。
給料が上がらないのは社長が取っているからではないか、
あの投資は無駄ではないか。悪意ではなく、根拠がないから、
そう考えるしかないのです。
逆に、根拠を説明できる社長は迷いません。
社員に説明できるということは、
自分自身が納得しているということだからです。
腹落ちしていない計画は、説明した瞬間に自分でわかります。
AIの使い方には、想像以上の差があります
もう一つ、その社長が驚かれたのがAIの使い方でした。
「今まで自分がAIと付き合っていた内容とは、雲泥の差がありました」
これは、その方の勉強不足ではありません。
AIは、聞き方と渡す材料で答えがまったく変わる道具です。
自社の数字と事業の中身を渡したうえで問いを立てるのと、
一般的な質問を投げるのとでは、返ってくるものの質が別物になります。
そして、ここで出てきた計画や施策は、
一度読んで終わりにするものではありません。
その社長も「何度も見直して、体に落とし込む必要がある」
とおっしゃっていました。まったくそのとおりだと思います。
二日間で作ったものを、日々の判断のなかで使い込んでいく。
そこまでいって、はじめて自分のものになります。
モヤモヤの正体は、能力ではありません
「何をすればいいんだ」というモヤモヤの正体は、
やる気の不足でも、能力の不足でもありません。
判断の基準と、その根拠が、まだ手元にないというだけのことです。
基準が決まれば、社長は動けます。決まっていないから止まる。
それだけのことなのだと、私は多くの経営者の方を見てきて思います。
一度、静かに問い直してみてください。
直近の大きな判断を、粗利で決めましたか、経常利益で決めましたか。
自社の経常利益率は、いま何%でしょうか。
その数字を、社員の方にご自身の言葉で説明できるでしょうか。
すぐに答えが出なかったとしても、心配はいりません。
数字と事業の中身が、まだつながっていないというだけです。
つなぎ方さえわかれば、経営の判断は驚くほど速くなります。
私の経営相談では、こうした数字の見方も含めて、
貴社の現状を一緒に整理していきます。同じ悩みでも、
言葉にして話すだけで頭がすっきりするものです。
気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
▼ご相談フォームはこちら(スマホで簡単入力)▼▼

※ご相談内容に「経営改革ロードマップ」とご記入いただけるとスムーズです


