合法でも「国税の伝家の宝刀」で否認される?意図的な節税(租税回避)のリスク
「法律やルールに則って正しく計算したのだから、絶対に大丈夫」
節税において、そう安心するのは危険かもしれません。
実は、完全な合法であっても、国税局から「その計算は認めない」と否認され、
多額の追徴課税を受けるケースが存在します。
その背景にある「国税の伝家の宝刀」と呼ばれる恐ろしいルールと、過去の裁判事例から学ぶべき「やりすぎ節税」のリスクについて解説します。
国税の伝家の宝刀「総則6項」とは?
相続税などの計算において、基本的には「財産評価基本通達」というルールに則って
財産の評価額を決定します。しかし、この通達には「総則6項(第6項)」という例外規定があり、
「通達通りに評価することが著しく不適当と認められる場合は、
国税庁の指示で評価し直してよい」と定められています。
つまり、ルール通りに計算していても、国税が「不当に税金を安くしている」と判断すれば、
独自の計算で課税できるという強力な武器なのです。
納税者が勝訴した「東北薬局事件」
最近注目を集めたのが、東北地方で50店舗以上の薬局を展開していた会社の自社株を巡る
「東北薬局事件」です。
社長が自社株を約63億円で売却する基本合意を結んだ翌月、急死してしまいました。
妻がそのまま株を売却しましたが、相続税の申告時には財産評価のルールに則り、
1株8,186円(相続税約8,000万円)で申告しました。
しかし3年後、国税局は「総則6項」を発動し、
「実際の売却額(1株10万5,000円)と比べて著しく不適当だ」
として1株約8万3,000円で再評価し、約3億円の追徴課税を命じました。
裁判の結果、2024年8月に「納税者側」が勝訴しました。
裁判所は、亡くなったタイミングがたまたま売却の基本合意直後だっただけであり、
「最初から相続税を安くする目的(節税目的)で行ったわけではない」ため、
著しく不適当には該当しないと判断したのです。
国税が勝訴した「タワマン節税」
一方で、同じ総則6項が使われ、国税側が勝訴したのが「タワマン節税」のケースです。
現金で10億円を持っていると多額の相続税がかかるため、
評価額が2億〜3億円に下がるタワーマンションを購入し、
相続税を大幅に安くしてから再び高く売却するという手法が流行しました。
これに対し国税は「不当に相続税を安くするための行為だ」と総則6項を適用。
裁判所も「相場より安く評価される仕組みを悪用し、税金を減らす目的でタワマンを買った」
と認定し、国税側の主張を認めました。
「正当な理由のない」意図的な節税は危険!
これらの裁判から分かる重要な教訓は、
「合法であっても、税金を安くする目的(租税回避)だけで行った行為は否認されるリスクがある」
ということです。
例えば、消費税の免税期間を利用するために「2年で廃業してまた新会社を設立する」
という行為を繰り返すようなスキームは、法律に「ダメ」と書いていなくても、
ビジネス上の正当な理由がなく明らかな税金逃れであれば、国税に否認される可能性が高いです。
「ネットで見た合法スキームだから」「専門家に勧められたから」と安易に飛びつくのは危険です。
意図的な節税を狙う場合は、その行為に「税金対策以外の正当なビジネス上の理由」
があるかを慎重に検討し、信頼できる税理士に相談することが不可欠です。
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