原資より先に、配り方 ― 賃上げを「社長が腹をくくる話」にしない

2026/10/26 経営

「原資は、どうやって作りますか」

賃上げの相談で、いちばん多い質問です。

大事な問いです。

ただ、その前に決まっていないことがあります。

何を、どこまでやったら、いくら上げるのか。

ここが決まっていないと、原資ができても、配り方で迷います。

基準がないと、感覚で配る

先日の研修で、こんな事例が出てきました。

社員が20人ほどの会社。

社長は、頑張っている人にきちんと報いたいと思っています。

ただ、評価の基準がありません。

だから、こうなります。

「よく頑張っている」「仕事ができる」「会社への貢献度が高い」

社長と上司の感覚で、決まっていきます。

社員の側は、どう受け取るか

悪気は、どこにもありません。

むしろ、公平にしたいから、毎回まじめに考えている。

それでも、社員からはこういう声が出ます。

  • 何を頑張ればいいか分からない
  • 同じくらいやっても差がある
  • 目立つ人ばかり評価される

評価は、期末試験と同じ

研修で、講師の先生がこう言われました。

評価は、期末試験と同じです

ハッとしました。

試験範囲を配らずにテストをして、点が低いと「もっと頑張れ」と言う。

言われたほうは、何を勉強すればいいのか分かりません。

私も、同じことをしていた

白状すると、私もそうでした。

人を評価する立場にいたころ、期末になってから思い出して、点をつけていました。

覚えているのは、直近の出来事だけです。

最後の1か月でつまずいた人が、低くなる。

それでも「ちゃんと見た」つもりでいました。

感覚で配ると、翌年の固定費になる

ここからは、数字の話です。

給料は、一度上げたら下げられません。

その年の感覚で配った差額は、翌年からの固定費として残ります。

利益が出た年の判断が、出なかった年にも効いてきます。

だから、順番を変える

  1. いくら稼いだら、いくら配るか
  2. 何をどこまでやった人に配るか
  3. 評価で、それを確かめる

評価は、人を裁く道具ではありません。

決めた配り方を、そのとおりに実行するための道具です。

おわりに

配り方が決まっていないと、賃上げは毎年「社長が腹をくくる話」のままになります。

いくら稼いだら、いくら配るのか。

貴社のその式は、紙に書いてあるでしょうか。

書いていないとしたら、まず1つだけ決めてみてください。

来期、利益がいくら増えたら、いくら配るのか。

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