効果は、見せないと伝わらない ― 紫外線カメラと、1枚の数字

2026/10/29 経営

片方の腕に日焼け止めを塗り、もう片方は塗らない。

肉眼では、まったく同じに見えます。

ところが、紫外線を映す専用のカメラで見ると、腕が真っ二つに分かれます。

塗った側は、真っ黒。

紫外線を通していません。

塗っていない側は、白い。

目では分からない差が、画面ではひと目で分かります。

見えない差を、見える形にする

これは、テレビ番組で紹介されていた花王の取り組みです。

このカメラは、自分たちで作ったそうです。

何のために作ったのか

目的は、効果を宣伝することだけではありませんでした。

  • ムラなく塗れているか
  • 塗りやすい商品になっているか
  • その状態が続いているか

ここを確かめるためです。

効果があっても、塗りムラがあれば守られません。

だから、見えるようにして、商品のほうを直していく。

洗剤の水まで、作っている

同じ番組で、洗剤の研究の話も出てきました。

水に含まれる成分は、国や地域によって違います。

そこで、その土地の水を再現してから、洗浄力を確かめているそうです。

ここまでやるのか、と思いました。

なぜ効くのかを、説明できるか

もうひとつ、印象に残ったものがあります。

今年出た、泡立たない洗顔料です。

顔になじませて、30秒おいて、流すだけ。

それで毛穴の汚れが落ちる、といいます。

ゆるめる役と、運び出す役

なぜ落ちるのか。

役割を2つに分けているそうです。

  1. 毛穴に詰まった汚れを、ゆるめる
  2. ゆるんだ汚れを吸いつけ、外へ出す

ゆるめるだけでは、奥の汚れは残ります。

運び出す役がいるから、奥まで落ちる。

そう説明されて、やっと腑に落ちました。

この商品は、発売直後から品切れが続いたと報じられています。

順番がある

整理すると、こうなります。

まず、効果を目で見せる。

そのうえで、なぜそうなるのかを説明する。

逆にすると、「よさそうな話」で終わってしまいます。

自分の商売も、同じでした

ここからは、自分の話です。

独立した年、私はこう言っていました。

「決算書を、見える化します」

相手はうなずきます。

それで、終わりです。

会場に、1人だった日

集客のための無料セミナーも、何度も開きました。

会場に参加者が1人、という日もありました。

正直、こたえました。

内容が悪いのかと思い、資料を作り直しました。

でも、問題はそこではありませんでした。

私は「自分が何をするか」しか話していなかった。

その会社に何が起きるのかを、見せていなかったのです。

見せているのは、判断できる状態

いまは、説明より先に数字を分けます。

決算書は、会社で1枚しかありません。

本業と2つ目の事業を、分け直します。

売上も、原価も、経費も、人も。

続ける、変える、やめる

ある会社では、損益分岐点比率が100%を超えていました。

売っても売っても、固定費を回収できない状態です。

社長からの相談は、「この事業、やめた方がいいでしょうか」。

ここで、私は答えを言いません。

続ける、変える、やめる。

3つの道を並べて、それぞれの数字を置きます。

そのうえで、やめる基準を先に決めます。

3か月連続で赤字なら、撤退を検討する。

ここまで来ると、社長は迷わなくなります。

黒字になる線と、そこを割ったときの出口が、両方見えているからです。

数字を分けるのは、過去を評価するためではありません。

社長が判断できる状態をつくるためです。

おわりに

中小企業の商品も、同じだと思います。

品質がいい、丁寧。

これでは、見えません。

  • ビフォーとアフターを並べる
  • 数字で示す
  • なぜそれができるのかを話す

貴社の商品の効果は、お客様に見えているでしょうか。

見えていないとしたら、伝え方ではなく、見せ方の問題かもしれません。

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