選ばれている理由、社員は言えますか ― 強みを15秒の一言にする

2026/10/27 経営

「御社の強みは何ですか」

社長に聞くと、答えはすぐ返ってきます。

「品質と対応の良さです」

嘘ではありません。

本当に、品質はいいんです。

ただ、同じことを社員に聞くと、違う言葉が返ってきます。

しかも、どちらもどの会社でも言える言葉だったりします。

残らない言葉は、値段で比べられる

言葉が相手に残らないと、何が起きるか。

比べる基準が、値段と納期だけになります。

「どこも同じに見えるなら、安いほうでいいか」

こうなります。

紹介が消える会話

こんな会話が、見えないところで起きています。

「体の調子が悪い人、知り合いにいない?」

「いるけど、なんで?」

「いい先生がいてね。腕がよくて、丁寧で……」

「へえ。じゃあ、また機会があったら」

これで、終わりです。

腕がいいも、丁寧も、どの先生にも言える言葉だからです。

褒めたつもりが、何も残っていません。

残る一言は、何が違うのか

有名な例を3つ並べます。

アップル(iPod)

「5ギガの音楽プレーヤー」とは言いませんでした。

「1000曲をポケットに」

スペックではなく、毎日がどう変わるかを言っています。

QBハウス

「低価格で効率的なヘアカット」ではなく、

「10分で髪を切る」

この一言は、そのまま人に話せます。

「駅前のあの店、10分で切ってくれるよ」と。

ライザップ

「パーソナルトレーニングジム」ではなく、

「結果にコミットする」

そして、全額返金保証でその言葉を裏づけました。

共通しているのは、3つ

  1. お客様に起きる変化を言う
  2. 数字1つで、話せる短さにする
  3. 選ぶ理由として、約束を添える

どれも、自分の説明ではありません。

相手の頭に絵が浮かぶように言っています。

自分の名乗りを、変えました

人のことは言えません。

私はずっと「財務コンサルをしています」と名乗っていました。

間違ってはいません。

それでも、紹介はほとんど来ませんでした。

相手の頭に、何も残っていなかったからです。

相手を絞って、問いに変えた

変えたのは、2つです。

1つ目は、相手を絞ったこと。

本業とは別に、2つ目の事業を始めた社長です。

2つ目は、その社長に聞きたいことを、そのまま一言にしたこと。

「2つ目の事業、どれが本当に儲かっていますか」

決算書は、会社で1枚です。

儲かっている事業が赤字の事業を支えていても、社長自身、気づけません。

事業ごとに数字を分けて、どこまで売れば黒字になるか、その線を引く。

仕事の説明をやめて、この問いを置きました。

返ってくる反応が、はっきり変わりました。

社長の頭の中にあるうちは、渡せない

ここで、会社の話に戻ります。

社員が強みを一言で言えないのは、社員のせいではありません。

答えは、社長の頭の中にあります。

  • うちはここが違う
  • だから続けてもらえている
  • 値段ではない理由がある

社長には見えています。

ただ、頭の中にあるうちは、誰にも渡せません。

社員は、渡されていない言葉をお客様に言えません。

おわりに

やることは、1つです。

お客様に起きる変化を、数字を1つ入れて、人がそのまま話せる短さで、紙に書く。

それを、社員に渡す。

強みは、持っているかどうかではありません。

渡してあるかどうかです。

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