原資より先に、配り方 ― 賃上げを「社長が腹をくくる話」にしない
「原資は、どうやって作りますか」
賃上げの相談で、いちばん多い質問です。
大事な問いです。
ただ、その前に決まっていないことがあります。
何を、どこまでやったら、いくら上げるのか。
ここが決まっていないと、原資ができても、配り方で迷います。
基準がないと、感覚で配る
先日の研修で、こんな事例が出てきました。
社員が20人ほどの会社。
社長は、頑張っている人にきちんと報いたいと思っています。
ただ、評価の基準がありません。
だから、こうなります。
「よく頑張っている」「仕事ができる」「会社への貢献度が高い」
社長と上司の感覚で、決まっていきます。
社員の側は、どう受け取るか
悪気は、どこにもありません。
むしろ、公平にしたいから、毎回まじめに考えている。
それでも、社員からはこういう声が出ます。
- 何を頑張ればいいか分からない
- 同じくらいやっても差がある
- 目立つ人ばかり評価される
評価は、期末試験と同じ
研修で、講師の先生がこう言われました。
評価は、期末試験と同じです
ハッとしました。
試験範囲を配らずにテストをして、点が低いと「もっと頑張れ」と言う。
言われたほうは、何を勉強すればいいのか分かりません。
私も、同じことをしていた
白状すると、私もそうでした。
人を評価する立場にいたころ、期末になってから思い出して、点をつけていました。
覚えているのは、直近の出来事だけです。
最後の1か月でつまずいた人が、低くなる。
それでも「ちゃんと見た」つもりでいました。
感覚で配ると、翌年の固定費になる
ここからは、数字の話です。
給料は、一度上げたら下げられません。
その年の感覚で配った差額は、翌年からの固定費として残ります。
利益が出た年の判断が、出なかった年にも効いてきます。
だから、順番を変える
- いくら稼いだら、いくら配るか
- 何をどこまでやった人に配るか
- 評価で、それを確かめる
評価は、人を裁く道具ではありません。
決めた配り方を、そのとおりに実行するための道具です。
おわりに
配り方が決まっていないと、賃上げは毎年「社長が腹をくくる話」のままになります。
いくら稼いだら、いくら配るのか。
貴社のその式は、紙に書いてあるでしょうか。
書いていないとしたら、まず1つだけ決めてみてください。
来期、利益がいくら増えたら、いくら配るのか。
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