機能ではなく、使った後の毎日を伝える。ジャパネットたかたの電子辞書に学ぶ価値の伝え方

2026/10/02 経営

先日、高知で経営合宿を行いました。

この合宿では、経営を見直すための数多くのテーマの中から、
社長ご自身に「今回はこれ」というテーマを選んでいただきます。

今回、社長が選ばれたのは、「価値を正しく伝えて、適正な値段で買ってもらう」というテーマでした。

良い商品やサービスを持っているのに、その良さがお客様に伝わっていない。
だから価格で比べられてしまう。これは、多くの中小企業が抱えている悩みです。

今回は、合宿で取り上げたジャパネットたかたの事例と、
そこから社長が気づいたことをもとに、「価値の伝え方」についてお伝えします。

学生向けの電子辞書が、シニアに売れた理由

ジャパネットたかた創業者の髙田明さんが、インタビューで電子辞書の販売について語っています。

もともとは「学生が買う商品」だった

電子辞書は、調べてみると、ほとんど学生さんが買っている商品でした。
けれど、時代は高齢化社会です。

髙田さんは、「この商品を、ご年配の方やお父さん、お母さんに売る方法はないか」と考えました。

伝えたのは「スーパーでの一場面」

そこで伝えたのが、次のような場面です。

70歳の奥さまが、3歳のお孫さんと一緒にスーパーマーケットへ買い物に行く。
お孫さんが、ナスを指さして「eggplant」、ピーマンを見て「green pepper」と言う。

今の電子辞書はネイティブの発音が出るので、それをまねして単語を喋っていたら、将来お孫さんはインターナショナルになりますよ、と。

結果、注文の7割が70歳・80歳以上に

結果、注文の7割は70歳・80歳以上の方からだったそうです。

もともと学生向けだった商品が、おじいちゃん・おばあちゃんに売れた。
このとき髙田さんは、収録語数や機能の多さについては、ほとんど語っていません。
伝えたのは、その商品を使った後に、お客様の毎日がどう変わるか、ということだけでした。

電子辞書を売ったのではなく、「知る楽しさ」を伝えた。

機能ではなく、「生活の変化」を伝える

つい、機能から話してしまう

多くの会社は、自社の商品やサービスを説明するとき、つい機能から話し始めてしまいます。

  • 「こんなことができます」
  • 「こんな実績があります」
  • 「他社よりこの点が優れています」

もちろん、どれも大切な情報です。けれど、お客様が本当に知りたいのは、機能そのものではありません。

お客様が知りたいのは、「それを使ったら、自分の毎日がどう変わるのか」です。

「商品」「実演・説明」「生活の変化」の3ステップ

合宿で使ったスライドでは、ジャパネットの事例を3つの流れで整理しました。

  1. 商品:収録語数や機能だけでは伝わらない
  2. 実演・説明:旅行先で英単語を調べる、新聞や本の言葉を調べる、孫に意味を教える、
    英会話を聞いて練習する
  3. 生活の変化:「調べるのが面倒」から「知るのが楽しい」へ

お客様が商品を買う理由は、3つ目の「生活の変化」にあります。
いわゆるベネフィットです。機能はあくまで、その変化を起こすための手段にすぎません。

機能を伝えるな。使った後の「楽しさ」を伝えよ。

「自分のイメージと共通点がある」社長の気づき

スライドを見た社長の一言

このスライドの「生活の変化」の絵を見て、社長がこうおっしゃいました。

「自分のイメージしているものと、結構共通点があるなと思った」

お客様に起きている「変化」

社長の会社は、お客様の代わりに予約を受け付けるサービスを提供されています。

お客様が現場で作業をしている間も、移動している間も、
代わりに予約を受けておく。お客様からすると、本業に集中している間に予約が増えていく、という状態です。

社長ご自身も、こう話されていました。

「知らない間に予約が増えてるっていうのは、ビフォーアフター的には結構喜ばれていると思う」

これは、まさにお客様の「生活の変化」です。

  • ビフォー:問い合わせや見積もり依頼が、つい後回しになる毎日
  • アフター:本業に集中している間に、予約が増えていく毎日

予約が増えるということは、売上が増えるということでもあります。

「それ、言葉にした資料はありますか?」

そこで、「その変化を言葉にした説明資料はありますか」とお聞きしました。社長の答えはこうでした。

「ビフォーアフターとベネフィットって、言い方が難しいんですけど」

一番の価値ほど、自分では言葉にしにくい

当たり前すぎて、見えなくなる

このやり取りに、多くの経営者に共通する課題が表れています。

自社のサービスの一番の価値ほど、自分では言葉にしにくいものです。毎日当たり前のように提供しているからこそ、その価値が見えにくくなってしまいます。

お客様が喜んでくれていることは、なんとなくわかっている。けれど、それを言葉や資料にしていない。そのため、説明するときはつい機能の話になり、価格で比べられてしまうのです。

価値を正しく伝える3つの工夫

  1. 使い方ガイドや事例集、勉強会、動画などで、お客様に価値を知ってもらう
  2. 商品の価値や効果、正しい使い方を理解してもらう
  3. 「この値段の理由」を伝える

「この値段の理由」が伝われば、値下げを求められることは減っていきます。

お客様に価値を知ってもらうことは、売り込みではありません。価値を理解してもらうための投資です。

価値を伝えることは、お客様との信頼と、適正な価格を同時に育てる。

社長が決めたこと

社長は、次の大事なプレゼンで、サービスによって生まれる「変化」を前面に出すと決められました。

おわりに

電子辞書を売ったのではなく、「知る楽しさ」を伝えた。

貴社の商品やサービスも、同じように考えることができます。

機能を並べる前に、お客様がそれを使った後、どんな毎日になっているのかを言葉にしてみてください。
それが、価格ではなく価値で選ばれるための第一歩です。

自社の価値の伝え方や、適正な価格の設定について気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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