機能ではなく、使った後の毎日を伝える。ジャパネットたかたの電子辞書に学ぶ価値の伝え方
先日、高知で経営合宿を行いました。
この合宿では、経営を見直すための数多くのテーマの中から、
社長ご自身に「今回はこれ」というテーマを選んでいただきます。
今回、社長が選ばれたのは、「価値を正しく伝えて、適正な値段で買ってもらう」というテーマでした。
良い商品やサービスを持っているのに、その良さがお客様に伝わっていない。
だから価格で比べられてしまう。これは、多くの中小企業が抱えている悩みです。
今回は、合宿で取り上げたジャパネットたかたの事例と、
そこから社長が気づいたことをもとに、「価値の伝え方」についてお伝えします。
学生向けの電子辞書が、シニアに売れた理由
ジャパネットたかた創業者の髙田明さんが、インタビューで電子辞書の販売について語っています。
もともとは「学生が買う商品」だった
電子辞書は、調べてみると、ほとんど学生さんが買っている商品でした。
けれど、時代は高齢化社会です。
髙田さんは、「この商品を、ご年配の方やお父さん、お母さんに売る方法はないか」と考えました。
伝えたのは「スーパーでの一場面」
そこで伝えたのが、次のような場面です。
70歳の奥さまが、3歳のお孫さんと一緒にスーパーマーケットへ買い物に行く。
お孫さんが、ナスを指さして「eggplant」、ピーマンを見て「green pepper」と言う。
今の電子辞書はネイティブの発音が出るので、それをまねして単語を喋っていたら、将来お孫さんはインターナショナルになりますよ、と。
結果、注文の7割が70歳・80歳以上に
結果、注文の7割は70歳・80歳以上の方からだったそうです。
もともと学生向けだった商品が、おじいちゃん・おばあちゃんに売れた。
このとき髙田さんは、収録語数や機能の多さについては、ほとんど語っていません。
伝えたのは、その商品を使った後に、お客様の毎日がどう変わるか、ということだけでした。
電子辞書を売ったのではなく、「知る楽しさ」を伝えた。
機能ではなく、「生活の変化」を伝える
つい、機能から話してしまう
多くの会社は、自社の商品やサービスを説明するとき、つい機能から話し始めてしまいます。
- 「こんなことができます」
- 「こんな実績があります」
- 「他社よりこの点が優れています」
もちろん、どれも大切な情報です。けれど、お客様が本当に知りたいのは、機能そのものではありません。
お客様が知りたいのは、「それを使ったら、自分の毎日がどう変わるのか」です。
「商品」「実演・説明」「生活の変化」の3ステップ
合宿で使ったスライドでは、ジャパネットの事例を3つの流れで整理しました。
- 商品:収録語数や機能だけでは伝わらない
- 実演・説明:旅行先で英単語を調べる、新聞や本の言葉を調べる、孫に意味を教える、
英会話を聞いて練習する - 生活の変化:「調べるのが面倒」から「知るのが楽しい」へ
お客様が商品を買う理由は、3つ目の「生活の変化」にあります。
いわゆるベネフィットです。機能はあくまで、その変化を起こすための手段にすぎません。
機能を伝えるな。使った後の「楽しさ」を伝えよ。
「自分のイメージと共通点がある」社長の気づき
スライドを見た社長の一言
このスライドの「生活の変化」の絵を見て、社長がこうおっしゃいました。
「自分のイメージしているものと、結構共通点があるなと思った」
お客様に起きている「変化」
社長の会社は、お客様の代わりに予約を受け付けるサービスを提供されています。
お客様が現場で作業をしている間も、移動している間も、
代わりに予約を受けておく。お客様からすると、本業に集中している間に予約が増えていく、という状態です。
社長ご自身も、こう話されていました。
「知らない間に予約が増えてるっていうのは、ビフォーアフター的には結構喜ばれていると思う」
これは、まさにお客様の「生活の変化」です。
- ビフォー:問い合わせや見積もり依頼が、つい後回しになる毎日
- アフター:本業に集中している間に、予約が増えていく毎日
予約が増えるということは、売上が増えるということでもあります。
「それ、言葉にした資料はありますか?」
そこで、「その変化を言葉にした説明資料はありますか」とお聞きしました。社長の答えはこうでした。
「ビフォーアフターとベネフィットって、言い方が難しいんですけど」
一番の価値ほど、自分では言葉にしにくい
当たり前すぎて、見えなくなる
このやり取りに、多くの経営者に共通する課題が表れています。
自社のサービスの一番の価値ほど、自分では言葉にしにくいものです。毎日当たり前のように提供しているからこそ、その価値が見えにくくなってしまいます。
お客様が喜んでくれていることは、なんとなくわかっている。けれど、それを言葉や資料にしていない。そのため、説明するときはつい機能の話になり、価格で比べられてしまうのです。
価値を正しく伝える3つの工夫
- 使い方ガイドや事例集、勉強会、動画などで、お客様に価値を知ってもらう
- 商品の価値や効果、正しい使い方を理解してもらう
- 「この値段の理由」を伝える
「この値段の理由」が伝われば、値下げを求められることは減っていきます。
お客様に価値を知ってもらうことは、売り込みではありません。価値を理解してもらうための投資です。
価値を伝えることは、お客様との信頼と、適正な価格を同時に育てる。
社長が決めたこと
社長は、次の大事なプレゼンで、サービスによって生まれる「変化」を前面に出すと決められました。
おわりに
電子辞書を売ったのではなく、「知る楽しさ」を伝えた。
貴社の商品やサービスも、同じように考えることができます。
機能を並べる前に、お客様がそれを使った後、どんな毎日になっているのかを言葉にしてみてください。
それが、価格ではなく価値で選ばれるための第一歩です。
自社の価値の伝え方や、適正な価格の設定について気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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