「安い棚」で戦うのを、やめてみる—値下げせずに選ばれる会社の共通点

グリコの「チーザ」というスナックをご存じでしょうか。
チーズを香ばしく焼き上げたような、あの濃厚な一枚です。
先日、経営者の勉強会で「中間ポジショニング」という言葉を聞き、
気になって調べてみたところ、この商品の戦略がとても面白かったので、ご紹介します
狙ったのは、「大人のおつまみ」という場所でした。
ビールやワインの隣。スルメやナッツと同じ土俵に、自ら立ちにいった。
生チーズを使い、「チーズより旨みが2倍濃い」とうたうほど味にこだわり、
お酒に合う濃厚さを追求しました。
その結果、発売直後は生産が追いつかず、
一時は販売を中止せざるを得ないほどの人気になったといいます。
商品より先に、「どの棚で戦うか」を決めている
ここに、大きな気づきがあります。
チーザは、商品そのものの良し悪しより先に、”どの棚で戦うか”を選んでいる、ということです。
同じ一枚のスナックでも、安いお菓子の隣に置けば「ちょっと高いお菓子」に見えます。
けれど、おつまみの隣に立てば「ちょうどいい贅沢」に変わる。
置かれる場所、隣に並ぶ商品によって、まったく同じものが「高い」にも「ちょうどいい」にも見えてくる。
これが、値段を下げずに選ばれるための戦略—マーケティングでいう「ポジショニング」です。
私たちはつい、「商品をどう良くするか」「価格をどう下げるか」に意識を向けがちです。
けれど本当に効くのは、その前段階。「誰の隣で、どんな価値の文脈で売るか」という、
土俵そのものの選び方なのです。
値下げ競争は、体力勝負になる
値下げで勝とうとすると、結局は体力勝負になります。
資本の大きい会社ほど有利で、体力の続かない側から脱落していく。
しかも、物価高と賃上げが同時に進む今、「安さ」で勝負し続けるのは、
多くの中小企業にとってすでに限界に近いはずです。
だからこそ、戦う棚を選び直す。この視点が効いてきます。
たとえば、一杯500円のコーヒー。
自動販売機の隣に並べば「高い」と感じられますが、
ゆっくりくつろげるカフェの中で出てくれば「ちょうどいい」と受け取られます。
缶コーヒーと張り合うのか、”心地よい時間”を売る場所に立つのか。
同じ一杯でも、選ぶ土俵によって、お客様が感じる価値はまるで変わるのです。
あなたの商品は、いま”誰の隣”にありますか
問いかけたいのは、この一点です。
あなたの商品やサービスは今、”誰の隣”で戦っているでしょうか。
もし、安さで比べられる棚に並んでいるのなら、少し立ち止まってみる価値があります。
同じ商品でも、届ける相手を変え、並べる文脈を変え、語る価値を変えれば、
「高い」から「ちょうどいい」へと見え方が変わる場所があるかもしれません。
大切なのは、商品を変えることではなく、戦う場所を選び直すこと。
あなたの商品が「ちょうどいい」と感じてもらえる棚は、どこにあるでしょうか。
その問いから、値下げに頼らない次の一手が見えてくるはずです。
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