日銀「金利1%」時代、いま中小企業がやるべき資金繰りとは

2026/07/28 ポッドキャスト

2026年6月、日銀が政策金利を0.75%から1%へ引き上げました。31年ぶりの水準です。
ニュースでは同じ時期に日経平均が7万円台に乗せたこと、
為替が160円をつけたことも大きく報じられました。

数字だけを追いかけると景気がいいように見えますが、
経営の現場から見える景色は、少し違います。

今回は、この局面で中小企業の経営者に押さえておいていただきたいことを、
社外CFOの立場から整理します。

「金利は気にしなくていい」時代は終わった

長いあいだ、私たちは金利をほとんど意識せずに経営してこられました。
低金利が当たり前で、「貯めるより借りて動いたほうが早い」という感覚が続いていたからです。

しかし、その前提が変わりつつあります。分かりやすいのは住宅ローンです。
フラット35を変動で組んでいる方は、0.2〜0.3%だった金利が、あっという間に1%に近づいています。
これはそのまま、会社の借入にも当てはまる話です。

やっかいなのは、金利の変化がすぐに表面化しないことです。
ベースの金利が動いてから、実際の借入条件に反映されるまでには、およそ2〜3ヶ月のタイムラグがあります。

今のうちに手を打っておかないと、「気づいたときには、返済のうち元本がほとんど減っていない」という状態に、
じわじわと近づいていきます。今後も金利は上がっていくと見られており、いま借りようとすれば2%、
今後は3%程度までという声も珍しくありません。

大切なのは、「上がる前に急いで借りる」といった短絡的な判断ではありません。
将来の計画をきちんと描いたうえで、必要なものであれば早めに調達する。
その判断の土台となる経営戦略があるかどうかが、この局面では効いてきます。

「利益が出ている」の中身を疑う

もうひとつ注意したいのが、円安と株高がつくる「見かけの好調」です。

いまの日経平均の上昇は、世界的なAI関連株の急騰、いわゆる”AIバブル”に支えられている面が大きく、
指数が上がっているからといって、すべての企業の実態が良いわけではありません。

円安についても同じことが言えます。
輸出をしていたり海外に拠点があったりする会社は、1ドル140円のときと160円のときとで評価が変わり、
売っている数量が同じでも利益が膨らんで見えることがあります。

逆に、輸入で仕入れている会社は、コスト増をそのまま被ります。
価格転嫁ができていなければ、利益は削られていきます。

だからこそ、「売上がいい」「利益が出ている」で安心してはいけません。
その数字の裏で、いったい何が起きているのか。

数量が動いた結果なのか、為替や単価がつくった一時的なものなのか。
そこを読めるかどうかが、経営者の力量の分かれ目になります。
単価がいいから儲かっているだけであれば、需要と供給のバランスが変わった瞬間に、状況は一変します。

いま整えておきたい3つのこと

この局面で、中小企業の経営者にお勧めしたいのは、大きく次の3つです。

1つ目は、現状把握です。
今の借入と返済スケジュールを見える化し、利上げ後にどれだけ影響が出るのかを含めて、
将来を見据えた資金繰りのシミュレーションをしておくことです。

2つ目は、円安によるコスト増への対応です。
輸入コストが上がっていく前提で、価格の見直しや値上げのタイミングを、
その場しのぎではなく”仕組み”として落とし込んでおくことです。

3つ目は、数字で月次管理することです。
金利の影響も、円安のリスクも、データを数字にして毎月きちんと見える形にし、
月次で追いかけていく。これが、変化に早く気づき、早く手を打つための土台になります。

放っておいても、情勢は勝手に変わっていきます。
だからこそ、早め早めに計画を作り、いくつかのパターンをシミュレーションして、
数字を見ながら手を打っていく。この積み重ねが、外部環境に振り回されない経営をつくります。

数字を見れば、経営は変わります。物価高、賃上げ、採用・定着といった課題が重なるこの時代に、
どうやって利益構造・収益構造を改善していくのか。

私たちはそのための道筋を、経営者の皆さまと一緒に描いています。

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