【経営参謀ラジオ #030】採用はお見合いだ—1人の求職者に9社が群がる時代に、中小企業が「選ばれる会社」になる方法

2026/06/08 ポッドキャスト

あなたの会社の求人を、今この瞬間に見ている人は何人いるだろう。

その人は同時に、他の8社の求人も見ている。
スマートフォンの画面をスクロールしながら、給与・休日・将来性・社風
あらゆる条件を比べ、候補から外していく。

気づけばあなたの会社は、候補リストの外に出されている。

有効求人倍率8.98倍。

中小企業の採用市場では、1人の求職者に対して約9社が競い合っている。

これが2025年の現実だ。

「ハローワークに出してるんですけど、採用できなくて」

バイさんが経営者と話す中で、最も多く聞く言葉の一つがこれだ。

「ハローワークに出してるんですけど、採用できなくて」

静かに問い返す。「ハローワーク以外は何をしていますか?」

沈黙。

採用を「求人票を出す作業」だと思っている会社は、永遠に採れない。
それは商品を作って棚に並べるだけで、売れないと嘆く店主と同じだ。

一方で大企業はどうか。有効求人倍率は0.3倍。
つまり3人の応募者に対して1つの枠しかない。

知名度・福利厚生・初任給30万円

大企業は圧倒的な武器を持って採用市場に参戦している。

この非対称な戦場で、中小企業はどう戦うべきか。

採用は「マーケティング」だと気づいた会社が勝つ

答えは意外にシンプルだ。採用をビジネスと同じように設計すればいい。

バイさんが使うのが「3C分析」という枠組みだ。本来は事業戦略に使うこのツールを、採用に転用する。

市場(Customer)
どんな求職者が、何を求めているのか。給与だけではない。
キャリアの展望、働き方、職場の雰囲気—その人が本当に重視しているものを理解する。

競合(Competitor)
同じ人材を狙っている他社は何を提供しているか。給与で勝てないなら、どこで差をつけるか。

自社(Company)
うちだから提供できることは何か。どんな未来を一緒に描けるか。

この3つが交差するところに、あなたの会社の「採用における強み」がある。
そこを言語化して伝えることが、採用マーケティングの出発点だ。

ファネルで考える—100人を5人に絞り込む設計

シャンプーのCMを思い浮かべてほしい。テレビで認知し、サンプルで体験し、気に入って購入する。
100人が知って、10人が興味を持ち、5人が買う—この流れを「ファネル(漏斗)」と呼ぶ。

採用も同じ構造だ。

認知(会社を知ってもらう)→興味関心(もっと知りたいと思わせる)→検討(応募を考える)→行動(実際に応募する)

各段階でどんな施策を打つか。YouTubeか、SNSか、ホームページか、OB訪問か。
どこにどれだけの予算をかけるか。これを設計せずに「採用できない」と嘆くのは、戦略なき戦いだ。

採用は「お見合い」—双方向の投資である

バイさんが最もシンプルな表現で採用の本質を言い表す言葉がある。

「採用はお見合いです」

企業は「この人に来てほしい」と思い、求職者は「この会社で働きたい」と思う。
どちらかの一方的な選択ではなく、双方が選び合う関係だ。

そして求職者にとって就職は、生涯賃金に2億〜3億円の差をもたらす「人生最大の投資」でもある。
だから彼らは慎重だ。

給与だけでなく、「この会社の5年後、10年後はどうなるのか」
「ここで働くことで自分はどう成長できるのか」を見極めようとしている。

その問いに答えられる会社が、選ばれる。

「3年後・5年後にこういう会社になります。こういうことに挑戦できます。
あなたにはこんな役割を期待しています」
これを言語化して伝えられるかどうかが、採用力の分水嶺だ。

採用予算は「コスト」ではなく「投資」として設計する

賃上げと同様、採用にかけるお金を「コスト」と見ると動けなくなる。
「投資」として見ると設計ができる。

例えば年間採用予算100万円を設定したとして、認知段階にいくら、接触機会の創出にいくら、選考プロセスの整備にいくら——と分配する。その投資が何年後に何人の定着社員として返ってくるかを計算すると、ROI(投資対効果)が見える。

採用を計画的に設計している会社は、「良い人が来てくれない」ではなく「どのチャネルで採れているか」「どの段階で離脱しているか」を数字で把握している。それが次の改善につながる。

まとめ—採用は経営そのものだ

採用は人事部の仕事ではない。経営の問題だ。

事業戦略があり、ビジョンがあり、財務計画があり、
その上で「どんな人と一緒にその未来を作るか」を設計するのが採用だ。

稼ぐ数字を作れる会社だけが、良い採用投資ができる。
良い採用ができた会社だけが、さらに稼ぐ数字を作れる。

この好循環を回すための設計図—それが経営改革ロードマップだ。
バイさんの著書『稼ぐ数字 儲け続けている経営者はセオリーを知っている』(マネジメント社)も
ぜひあわせてご覧ください。

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