【経営参謀ラジオ #019】クリニック経営の数字を読め—損益分岐点・労働分配率・患者単価で黒字体質をつくる
「1日何人診れば赤字にならないのか」
開業前にこの問いに答えられないまま走り出すクリニックが少なくありません。
高知市の中小企業に社外CFOとして伴走するサンブレイン税理士事務所のバイ(馬醫)が、
経営参謀ラジオ第19回で解説するのはクリニック経営の数字の読み方です。
損益分岐点・労働分配率・ライフタイムバリュー
中小企業経営と共通する数字の考え方を、医療という特殊な舞台で実践的に解き明かします。
「損益分岐点」を開業前に設計せよ
損益分岐点とは、売上とコストが一致して利益がゼロになる点のこと。
これを超えると利益が生まれ、下回ると赤字になります。
クリニック経営において、この設計を開業前にしっかり行わないと
「やってみたら赤字が続く」という事態が普通に起こります。
考え方はシンプルです。売上から変動費(売上に連動して変わるコスト)を引いたものが粗利。
粗利から固定費(人件費・家賃・設備償却など売上に関わらず発生するコスト)を
引いたものが利益です。
固定費÷粗利率で損益分岐点の売上が算出できます。
例えば月の固定費が500万円、粗利率が100%(変動費がほぼない医療の場合)なら、
月500万円の売上が損益分岐点。患者1人あたりの平均単価が5,000円、診療日数が月25日なら、
1日あたり40人の患者が必要という計算になります。
この「1日40人」という目標が、採用・設備・診療体制設計のすべての起点になります。
「労働分配率」が経営の健全性を映す鏡
もうひとつ重要な指標が「労働分配率」です。
粗利に占める人件費の割合を示すもので、計算式は「人件費÷粗利×100」。
一般的な目安は50%前後とされていますが、
バイさんが見てきた経営が厳しい会社では70%を超えるケースも珍しくありません。
対照的な例として登場するのがキーエンスです。
平均年収2,000万円という高待遇にもかかわらず、営業利益率は54%、労働分配率はわずか13%。
これは粗利を圧倒的に高く稼いでいるからこそ実現できる水準です。
クリニックでも「粗利をどう稼ぐか」「人件費をどの水準に抑えるか」という視点が、
経営の持続性を左右します。
診療科によって異なる「患者単価」という現実
クリニック経営のもうひとつの特徴が、診療科による患者単価の格差です。
皮膚科・小児科・耳鼻科などは平均単価が4,000〜5,000円程度の一方、
循環器内科・糖尿病内科など専門性の高い診療科では単価が高くなります。
単価が低い診療科ほど多くの患者を診る必要があり、
1日あたりのキャパシティが経営の上限を決めます。
単価が高い診療科では、いかに患者に長く通い続けてもらうか。
ライフタイムバリュー(生涯顧客価値)の設計が重要になります。
どの診療科を選び、どんな患者層をターゲットにするか。
開業時のこの設計が、3年後・10年後の経営体質を決めると言っても過言ではありません。
「3年でピーク」という壁をどう超えるか
クリニック経営では「開業から3年でピークに達し、その後は横ばい」
というケースが非常に多く見られます。
患者数がキャパシティの上限に達すると、売上の天井が見えてしまうからです。
その後の選択肢は大きく3つです。
新しい診療メニューを追加して単価を上げる、
別の院を開設して別の医師に任せてスケールさせる、
あるいは現状を維持しながら60代以降の事業承継を考える。
どの道を選ぶかは経営者としての人生設計そのものです。
クリニック経営も「参謀」が必要な理由
医師は診療のプロですが、経営のプロではありません。
損益分岐点の計算・労働分配率の管理・患者単価の設計・キャパシティ計画
これらを一人でこなすのは至難の業です。
事務方や経営管理部門、そして社外CFOのような外部の参謀が支える体制が、
クリニック経営を安定させるカギです。次回も引き続きこのテーマを深掘りします。
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