雨が降れば傘をさす─「当たり前」を当たり前にやる経営

2026/08/13 経営

「成功の秘訣は何ですか?」
これは、松下幸之助さんが生涯でいちばん多く受けた質問だそうです。

そのたびに、幸之助さんはこう聞き返したといいます。

「あなたは、雨が降ったらどうしますか?」
「……傘をさします」
「そうでしょう。それですよ」と。

拍子抜けするような答えですよね。でも、ここにこそ本質がある。

雨が降れば傘をさす。暑ければ薄着になる。100円で仕入れたものは、110円で売る。
当たり前のことを、当たり前にやる。ただ、それだけ。

ところが、これが「商売」になったとたん、できなくなる人が本当に多いのです。

貸したお金を「返して」と言えない

幸之助さんが、こんな話を残しています。

ある経営者が、資金繰りに困って幸之助さんのところへお金を借りに来ました。
ところがこの人、もともとは人にお金を融通してあげている側の人だったのです。

だから幸之助さんは言いました。

「君はいろんな人に貸しているだろう。その人たちに率直に話して、少し返してもらえばいいじゃないか」と。

すると、その経営者はこう答えます。

「いや、それは恥ずかしくて、かっこ悪くて言えません」

貸したお金を「返してもらえないか」と頼む。
どこにも間違っていない、当たり前のことです。なのに、プライドが邪魔をして言えない。

結局その人は、勇気を出して率直に話してみました。
すると、まわりが前倒しで返してくれて、幸之助さんから借りるまでもなく、事なきを得たそうです。
最初から、当たり前をやればよかっただけ、なのですよね。

これ、私たち経営者も同じでしょう?

仕入れ値が上がった。だったら、価格を上げる。当たり前のことです。

でも、「周りはまだ上げていない」「上げたら売れなくなるかもしれない」。
そうやって、なかなか上げられない。気づけば、上がったコストを自分の身を削って飲み込んでいる。

賃上げも、同じです。社員に報いたい気持ちはある。当たり前にやるべきだと、頭ではわかっている。
それでも、目の前の数字や世間の空気を気にして、つい先送りにしてしまう。

当たり前を、当たり前にやる。実は、これがいちばん難しいの。
わかっているのに、感情やプライドやしがらみが、そのじゃまをする。

傘を、ちゃんとさせているか

雨が降っているのに、傘をささない。そんな経営が、意外と多いのです。

大きな成功も、はじめの一歩は、こういう些細な「当たり前」の積み重ねなのだと思います。
昨日より少しだけ、当たり前を当たり前にやれたら、明日の一歩は確実に変わっていく。

あなたの商売で、「当たり前なのに、まだやれていないこと」は何でしょう?

その一つに手をつけることが、次の景色への入口になる。

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