「え、また上がるの」で済ませていませんか?― 金利1%・円安時代に、経営者が見落とす「裸の利益」
2026年6月、日銀は政策金利を1%に引き上げました。31年ぶりの水準です。
いよいよ「金利のある世界」が本格的に戻ってきました。
金利上昇は、借入のある企業にとって確実なコスト増です。
けれど、いまの経営環境で本当に怖いのは、金利そのものではありません。
自社の利益が「何によって出ているのか」を、社長自身が数字で把握できていないことです。

販売は落ちているのに、利益は増えている?
以前、ある顧問先の月次を見ていて、ふと引っかかったことがあります。
前年より販売は落ちている。なのに、利益は増えていました。
表面だけ見れば「今月は好調」で終わる話です。
ところが中身を分解すると、利益を押し上げていたのは為替差益でした。
その影響を除いた「裸の利益」― つまり本業で稼いだ実質の利益 ― で見ると、実態は赤字。
表面の利益と、裸の利益。この差が見えているかどうかで、打つ手はまるで変わります。
金利1%上昇が、利益に与える影響
まずは金利から。借入金が1億円ある会社なら、金利が1%上がると、
年間の支払利息は単純計算で約100万円増えます。
5億円なら500万円、10億円なら1,000万円。
これは売上ではなく、利益から出ていくお金です。
低金利の時代は、多少のどんぶり勘定でも資金は回りました。
しかし、金利が「ある」世界では、同じ経営のままでは通用しません。
金利だけ見ると危ない ―「為替」という落とし穴
金利と同時に見るべきなのが、為替です。
私が支援してきた会社にも、輸出型と輸入型があります。
同じ「円安」でも、出てくる景色は正反対です。
輸出型は円安が追い風になり、売上が落ちても、為替で利益が押し上げられることがあります。
一方、輸入型は円安で材料費が上がり、収益を圧迫されます。
昨年6月に1ドル145円だった為替は、足元で160円前後。
約10%の円安が進み、その分が利益を削っています。
やっかいなのは、価格転嫁にはタイムラグがあること。
仕入れ価格の上昇をすぐに販売価格へ反映できず、
上がったコストを自社で一定期間、吸収せざるを得ません。
「日本が利上げをすれば円高に振れる」という見方もありますが、現実はそう単純に動いていません。
為替は、これまで以上に読みにくくなっています。
本当に怖いのは「数字が見えていない」こと
だからこそ、経営者に問われるのは、次の問いに即答できるかどうかです。
- 為替の影響を除いた「裸の利益」は、いくらか
- 1ドル円安(または円高)に振れたら、利益はどう動くか
- 変動金利の借入はいくらあり、1%上昇で利息はいくら増えるか
- その増加分を、利益で吸収できるのか
- 価格転嫁はできているか
- 追加借入に頼らず、資金繰りは回るのか
これらを数字で把握できないまま経営するのは、霧の中をライトもつけずに走るようなものです。
これからの経営に必要な「経営改革ロードマップ」
市場環境の変化が大きく、先行きが見えないいまこそ、売上を追うだけの経営から一歩進む必要があります。
金利・為替・利益・資金繰りをセットで見ながら、これからの数年をどう進むのかを描く。
それが「経営改革ロードマップ」です。
大切なのは「借入を減らす」ことだけではありません。
借入をどう使い、利益をどう残し、資金繰りをどう守るか。
これを数字で判断できる会社が、変化の局面で強いのです。
まずは「裸の利益」を見るところから
金利1%は、小さく見えて、会社の利益を確実に削ります。
でも、見えてさえいれば、打ち手は必ずあります。
表面の利益ではなく、裸の利益を見る。
裸の利益が見えてはじめて、「稼ぐ数字」がつくれます。
いまは、自社の借入と資金繰り、そして利益の中身を、一度棚卸しするタイミングです。
その第一歩を、ここから始めてみませんか。
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