過剰在庫の本当の原因は「現場のミス」ではない ─ 製販連携と在庫の鮮度管理

2026/06/06 経営

ある製造業の現場で起きていたこと

先日、ある製造業のお客様から、
「気づけば在庫が昨年より大きく膨らんでいる」というご相談をいただきました。

最初に疑われたのは、いつもの“犯人”
発注担当者の判断ミスや、現場の在庫の持ちすぎです。
しかし一緒に原因を掘り下げると、問題はもっと上流にありました。

本コラムでは、過剰在庫が生まれる本当のメカニズムと、
それを断つための2つの打ち手―製販連携した生産計画(入口)在庫の鮮度管理(出口)を、
実務目線で整理します。

過剰在庫の真因は「見通しと実需のズレ」が共有されないこと

このお客様で起きていたことは、突き詰めると次の流れでした。

  1. 営業の見通しと、実際の需要にズレが生じていた(「売れるはず」と見込んだ量ほどは売れなかった)
  2. そのズレが工場へ十分に共有されなかった
  3. 結果、見通しのままモノを作り続け、過剰生産=過剰在庫につながった

つまり、犯人は「個人の発注判断」ではなく、営業と製造の“連携不足”という構造でした。
需要の変化が生産計画に反映される仕組みがなければ、現場がどれだけ頑張っても在庫は膨らみます。

ポイント
過剰在庫は「結果」です。
原因は、需要情報が作る側に届いていないこと。
ここを直さずに在庫だけを追いかけても、また膨らみます。

落とし穴:在庫を「数量」だけで見ている

もう一つ、多くの会社に共通する弱点があります。
在庫管理表が「商品名・在庫数・販売数」といった数量ベースになっていることです。

経営が本当に気にするのは「在庫“金額”」です。
数量だけの表では、《いくら資金が眠っているか》《施策でいくら圧縮できたか》を経営に示せません。
測りたいもの(金額)と、測れているもの(数量)がズレているのです。

解決の2本柱:「入口」と「出口」の両方を締める

過剰在庫は、蛇口を1つ締めるだけでは止まりません。
作りすぎ(入口)眠らせすぎ(出口)の両方に手を入れます。

入口対策:製販連携した生産計画

ねらいは「売れる前提で作る」から「需要に合わせて作る」への転換です。
具体的には、

  • 営業の見通しと実需のズレを早期に把握する(週次・月次で実績と見込みを突き合わせる)
  • そのズレを工場とリアルタイムに共有し、生産計画へ反映する
  • 営業・製造・在庫の担当者が同じ数字(同じ需要見通し)を見て意思決定する

大掛かりなシステムは必須ではありません。
まずは「営業と工場が同じ数字を見る場」を、定例の打ち合わせとして持つだけでも効果が出ます。

出口対策:在庫の鮮度管理

すでに抱えている在庫は、「鮮度」
つまりいつ入った在庫で、何日眠っているかで管理します。
在庫は次の2つの軸で見ると、状態を正しく切り分けられます。

指標何が分かるか対象
量の軸供給日数(在庫数 ÷ 日販)あと何日分あるか過剰/欠品
時間の軸滞留日数(棚卸日 − 入庫日)何日眠っているか滞留/不動

「よく動くが多すぎる(過剰)」在庫と、
「ほとんど動かず眠る(滞留)」在庫では、打つ手がまったく違います。
前者は発注・生産の抑制、後者は販促・用途転換・処分です。

この出口管理を機能させるために、管理表へ次の視点を入れます。

  1. 金額で見る
    (在庫単価・在庫金額) いくら削減できたかを語れる
  2. 鮮度を見る
    (入庫日・滞留日数、必要なら期限残日数) 眠っている在庫を可視化
  3. 判定をルール化する
    (例:供給日数60日超=過剰/15日未満=欠品リスク/滞留90日超=処分検討)
    勘に頼らず、色分けで一目に
  4. 重点管理する(ABC分析)
    在庫金額の上位2割に集中する
  5. 推移で進捗を見せる(在庫金額の月次推移)
    削減の進捗を経営へ

おわりに:入口と出口、両方そろって初めて止まる

過剰在庫の本質は、需要情報が生産に届いていないこと(入口)と、
眠っている在庫が見えていないこと(出口)の2つです。

逆に言えば、製販連携で“作りすぎ”を抑え、鮮度管理で“眠らせすぎ”を早期に断つ。
この両輪を回せば、特別なシステムがなくても、欠品防止と在庫圧縮は両立できます。

自社の生産計画や在庫管理表を見直したいという方は、お気軽にご相談ください。

▼▼ご相談フォームはこちら(スマホで簡単入力)▼▼

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: banner_entry.png

※ご相談内容に「在庫管理」とご記入いただけるとスムーズです。