【経営参謀ラジオ #023】松下幸之助が教えてくれた「当たり前のことを当たり前にする」—社長の本当の仕事と年商別経営フェーズの設計
「成功の秘訣は何ですか?」
パナソニック創業者・松下幸之助がこの質問にいつも答えていた言葉が
「当たり前のことを当たり前にする」でした。
高知市の中小企業に社外CFOとして伴走するサンブレイン税理士事務所のバイ(馬醫)が、
経営参謀ラジオ第23回で著書『稼ぐ数字』
第2章のテーマ「社長の本当の仕事とは何か」を解説します。
年商規模別の経営フェーズと、社長が本来集中すべきことを明快に整理した内容です。
「当たり前のことを当たり前に」—松下幸之助の2つのエピソード
エピソード①:お金の回収
ある金貸しの人が松下幸之助に
「運転資金が苦しいのでお金を貸してほしい」と相談に来ました。
理由を聞くと「貸したお金が戻ってこない」とのこと。
松下幸之助は「まず貸したお金を回収したらどうか」とアドバイスします。
「恥ずかしくて言えない」という相談者に対し、
「事情を正直に話して頼んでみたらどうか」と背中を押したところ、
実際に返金してもらえたといいます。
プライドや遠慮が邪魔をして、当たり前の行動が取れなくなる.。
これは経営の現場でも日常的に起きています。
エピソード②:汚れた看板
名古屋への出張中、車窓から松下電器の看板が汚れているのを発見した松下幸之助。
運転手に尋ねると「あれは別の部署の管轄なので」と言われ、激怒したといいます。
「会社というものは部署の責任ではない。気づいた者が指摘して直させるのが当たり前だ」
というメッセージが、この逸話の核心です。
自分の家が汚れていれば拭く。
それと同じ感覚を組織の中でも持ち続けることが、
当たり前のことを当たり前にするということです。
経営における「雨が降ったら傘をさす」
松下幸之助が「雨が降ったら傘をさす」という言い方もしていたといいます。
経営に置き換えると、こういうことです。
仕入れ値が上がっているのに値上げ交渉をしない。
売掛金の回収が遅れているのに言いにくくて放置する。
採用を絞るべき局面なのに前年通りに採用する。
これらはすべて「雨が降っているのに傘をさしていない」状態です。
プライドや業界の慣習、社内の雰囲気に流されて、当たり前の経営判断ができなくなる。
これが多くの中小企業で起きていることです。
決算書を毎月確認し、粗利の生み出し方を理解し、固定費を管理し、
計画と実績を毎月比較する。
これらもすべて「当たり前」ですが、実際にできている会社は多くありません。
年商規模別・経営フェーズの設計
バイさんが経営支援で重視しているのが、
年商規模に応じた「経営の山」の考え方です。
フェーズ①:年商1億円未満—「売る力」を磨く
まず最優先すべきは売上を作ることです。
自社の強み(USP)を明確にし、3C分析(市場・競合・自社)を使って
どうキャッシュを生み出すかを設計します。
社長自身が営業の最前線に立ちながら、売上の基盤を作ることが最初の山です。
フェーズ②:年商1〜3億円—「お金の流れ」を理解する
売上が積み上がり始めたら、次は収益構造の理解です。
粗利・固定費・損益分岐点を把握し、どうすればもっと儲かるかを設計できる状態にします。
このフェーズからバイさんのような社外CFOのサポートが特に効果を発揮します。
フェーズ③:年商3〜5億円—「仕組み化」で組織を動かす
人が増えてくるこのフェーズでは、
社長がすべてを一人でこなす状態から抜け出す必要があります。
業務を仕組み化し、組織で動ける体制を作ることが優先課題です。
フェーズ④:年商5〜10億円—「管理職の育成」
幹部・管理職をいかに育てるかが鍵になります。
社長の分身を1人・2人・3人と増やすことで、
チームで仕事ができる組織に変わっていきます。
フェーズ⑤:年商10億円以上—「理念・経営計画の共有」
人数が増えると、中途採用者も増えます。
バラバラな文化が持ち込まれないよう、
経営理念・方針・経営計画を全社で共有する仕組みが必要になります。
社長の本当の仕事は「売上を作ること」
どのフェーズでも共通しているのは、
社長が本来集中すべきは「売上を伸ばす施策の設計」だということです。
社長が経理・総務・人事まですべてをこなしているラットレース状態では、
本来やるべき事業設計や営業に時間が取れません。
お金回りを任せられる人材・仕組みを早く作るほど、
社長は事業成長に集中でき、会社の伸びが加速します。
1億円を超えたら、外部パートナーを活用して仕組み化を急ぐことが、
成長スピードを上げる最短ルートです。
まとめ
「当たり前のことを当たり前にする」
この松下幸之助の言葉は、シンプルでありながら実践が最も難しい経営の本質を突いています。
値上げ・回収・採用調整・計画管理を当たり前に実行し、
年商規模に応じた正しいフェーズの経営を設計することが、
社長の本当の仕事です。
バイさんの著書『稼ぐ数字 儲け続けている経営者はセオリーを知っている』(マネジメント社)
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