モームリ事件──「急成長の影」で何が起きたのか?
10月22日。
東京・五反田。
退職代行サービス「モームリ」の運営会社、アルバトロスに警視庁が家宅捜索に入りました。
100人体制。しかも、弁護士事務所まで。
まるでドラマのような展開。
けれど、これは“どこにでも起こりうる経営の話”です。
「辞めたいけど言えない」──時代の空白を突いた成功
モームリは、会社を辞めたい人の代わりに退職の意思を伝えるサービス。
SNSを中心に爆発的に広がり、利用者は4万人超。
利用者の6割は20代。
「若者の味方」的ブランドで、一気に有名になりました。
“代行で辞める”という新しい選択肢を作った点は、本当に革新的でした。
でも、問題はここからです。
境界線を越えた瞬間、成功はリスクに変わる
退職の「通知」までは合法。
でも、未払い給与や残業代の「交渉」を代行すると、弁護士法違反(非弁行為)になります。
つまり、
「お客様のためにもう少し踏み込みたい」
その“たった一歩”が、違法に変わる。
モームリは、「通知だけ」と言いながら、実際には“交渉”まで行っていた疑い。
そして弁護士への“紹介料”を得ていた。
これは、善意が利益に変わるときの怖さです。
退職代行ビジネスは、そもそも構造が難しい
退職代行市場には、最初から“儲からない構造”がありました。
弁護士法に守られた範囲では、やれることが限られる。
だから、誰でも参入できる。
そして、価格競争が始まる。
・差別化できない。
・単価が下がる。
・だから「もう一歩踏み込もう」となる。
これが、“構造的に危険なビジネスモデル”。
「攻めすぎた企業」ではなく、「止められなかった組織」
今回の本質は、
“違法をした会社”というよりも、
“止める人がいなかった組織”だと思うんです。
売上は上がる。
顧客も喜ぶ。
SNSもバズる。
誰もブレーキを踏めなくなる。
でも、経営って本当は「ブレーキの設計」こそが勝負です。
成功とは、「どこまでやらないか」を決めること
経営参謀として言うなら、
会社を成長させるより難しいのは、“成長を制御すること”です。
成功する社長ほど、「あと一歩やろう」と思う。
でも、その一歩の先に崩壊がある。
だからこそ、経営参謀は言わなきゃいけない。
「社長、それ以上はやめましょう」
ブレーキをかけるのも、経営の一部なんです。
最後に─あなたの会社にも“越えてはいけない線”がある
モームリ事件は、他人事ではありません。
どんな業界でも、スピードが出すぎると、線を越えやすくなる。
- SNS集客を拡大したい
- 顧客満足を追求したい
- 売上を倍にしたい
その気持ちは正しい。
でも、どこまでが「法の内側」かを設計するのが、経営参謀の仕事です。
加速する時代だからこそ、
必要なのは“ブレーキの知性”。
成長とは、「攻めること」ではなく、
「やりすぎないこと」を決めること。
それが、本当の経営戦略です。
経営のスピードが上がるほど、見えなくなる「線」があります。
その線を一緒に設計するのが、私の仕事です。
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